実家売却の費用・税金相場と3つの節税特例|手取り金額の計算方法も解説

空き家・実家売却

実家売却の費用・税金相場と3つの節税特例|手取り金額の計算方法も解説

「実家を売却したらいくら手元に残るのか」——これは売却を検討するすべての方が最初に気になることです。

実家売却では、売却価格がそのまま手取りになるわけではありません。仲介手数料・印紙税・譲渡所得税など、さまざまな費用と税金が差し引かれます。

この記事では、実家売却にかかる費用と税金の相場を一覧で解説し、手取り金額のシミュレーション方法と節税のポイントまで詳しく紹介します。

こんな方におすすめ

  • 実家売却でいくら手元に残るか知りたい方
  • 仲介手数料・税金の相場を把握したい方
  • 譲渡所得税の節税特例を知りたい方
  • 手取り金額を事前にシミュレーションしたい方


この記事でわかること

  • 実家売却にかかる費用の全種類と相場
  • 譲渡所得税の計算方法
  • 3,000万円特別控除など節税特例3つ
  • 3,000万円売却時の手取り額シミュレーション

実家売却にかかる費用の全体像

実家売却でかかる費用は大きく「売却時にかかる費用」と「売却後にかかる税金」の2種類に分かれます。

費用の種類 相場・目安 タイミング
仲介手数料 売却価格×3%+6万円(税別)が上限 引渡し時
印紙税 1,000円〜6万円(売却価格による) 契約時
登録免許税 不動産評価額×0.4%(抵当権抹消) 引渡し時
司法書士費用 3〜10万円 引渡し時
遺品整理費用 10〜80万円(荷物量による) 売却活動前
測量費用 30〜80万円(必要な場合のみ) 売却活動前
ハウスクリーニング 3〜15万円(任意) 売却活動前
譲渡所得税・住民税 利益の約20〜39%(特例適用後) 翌年確定申告時

ポイント


費用の中で最も大きいのは仲介手数料と譲渡所得税です。節税特例を活用できるかどうかで、手取り金額が数百万円単位で変わることがあります。

費用が発生するタイミングを把握しておく

実家売却にかかる費用は、売却活動前・契約時・引渡し時・確定申告時の4つのタイミングに分かれて発生します。遠距離の場合はまとめて準備するのが難しいため、いつ・いくら必要になるかを事前に把握しておくと資金繰りで慌てずに済みます。

  • 売却活動前:遺品整理・ハウスクリーニング・測量費用など(査定依頼前後に発生)
  • 契約時:印紙税・仲介手数料の一部(成約時に半金を支払う契約が一般的)
  • 引渡し時:仲介手数料の残金・登録免許税・司法書士費用
  • 確定申告時:譲渡所得税・住民税(売却した翌年に申告・納税)

注意点


譲渡所得税・住民税は売却した翌年に一括で支払うため、手元に残った売却金をすぐに使い切ってしまうと納税資金が不足することがあります。売却金の一部は確定申告まで手をつけずに残しておくことをおすすめします。

実家売却にかかる各費用の詳細

① 仲介手数料

不動産会社に支払う成功報酬で、実家売却にかかる費用の中で最も大きな金額になります。法律で上限額が定められています。

売却価格 仲介手数料の上限(税別)
200万円以下 売却価格×5%
200万円超〜400万円以下 売却価格×4%+2万円
400万円超 売却価格×3%+6万円

計算例

  • 1,000万円で売却 → 手数料上限:36万円(税別)
  • 2,000万円で売却 → 手数料上限:66万円(税別)
  • 3,000万円で売却 → 手数料上限:96万円(税別)

② 印紙税

売買契約書に貼り付ける収入印紙の費用です。売却価格に応じて金額が変わります。

売却価格 印紙税額(軽減税率適用後)
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円

③ 登録免許税・司法書士費用

住宅ローンの抵当権抹消登記や所有権移転登記に必要な費用です。

  • 抵当権抹消登記:不動産評価額×0.4%(1件につき1,000円の場合も)
  • 司法書士報酬:3〜10万円(依頼内容による)

④ 遺品整理・ハウスクリーニング費用

実家に荷物が残っている場合、売却前に片付けが必要です。遠距離の場合は遺品整理業者への依頼が現実的です。

作業内容 費用目安
遺品整理(1〜2LDK) 10〜20万円
遺品整理(3〜4LDK・一戸建て) 20〜60万円
ハウスクリーニング(一戸建て) 5〜15万円

⑤ 測量費用

隣地との境界が確定していない場合、測量が必要になることがあります。

測量が必要なケース

  • 登記上の面積と実測面積が異なる
  • 境界標(境界を示す杭)がない・不明瞭
  • 隣地との境界について争いがある

測量費用は30〜80万円が目安です。古い物件・農地に接している物件は必要になることが多いです。

⑥ 解体費用(更地で売却する場合)

建物が老朽化している場合、解体して更地にしてから売却した方が買い手がつきやすいケースがあります。一方で、古家付きのまま「現状のまま」売却できれば解体費用はかかりません。どちらが得かは立地や買い手の需要によって変わるため、不動産会社に相談しながら判断するのが安全です。

建物の構造 解体費用の目安(30坪前後)
木造 100〜150万円
軽量鉄骨造 120〜180万円
鉄骨造・RC造 150〜250万円

⑦ 仏壇・仏具の供養・処分費用

実家に仏壇が残っている場合は、処分前に閉眼供養(魂抜き)を行うのが一般的です。お布施の相場は1万〜5万円程度で、遺品整理業者にまとめて依頼できる場合もあります。

実家売却でかかる税金|譲渡所得税の計算方法

実家を売却して利益が出た場合、譲渡所得税と住民税がかかります。ただし、適用できる節税特例があれば税負担を大幅に減らせます。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

  • 売却価格:実際に売却した金額
  • 取得費:購入時の価格+購入時の諸費用(不明な場合は売却価格の5%)
  • 譲渡費用:仲介手数料・印紙税など売却に直接かかった費用

税率

所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期) 30% 9% 39.63%
5年超(長期) 15% 5% 20.315%

取得費が不明な場合


親が購入した時の金額が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として使える「概算取得費」が認められています。ただし実際の取得費より大幅に低くなるため、購入時の書類(売買契約書・通帳記録等)を探すことをおすすめします。

所有期間の数え方に注意

所有期間が5年超か5年以下かで税率が大きく変わるため、数え方を間違えると想定より税負担が増えることがあります。

所有期間のカウント方法

  • 取得日から売却した年の1月1日時点で何年経過しているかで判定する
  • 売却した日(引渡し日)時点ではない点に注意
  • 相続で取得した場合は、親が取得した日(購入日)を引き継ぐ

ここに注意


相続した実家を売却する場合、所有期間は親が購入した日から数えるため、相続後すぐに売却しても長期譲渡(5年超)の税率が適用できるケースが多くあります。自分が相続した日を基準に「短期だから税率が高い」と思い込まないよう注意しましょう。

実家売却で使える節税特例3つ

実家売却では以下の特例を活用することで、譲渡所得税を大幅に減らせる可能性があります。

step
1
居住用財産の3,000万円特別控除

親が実際に住んでいた家を売却する場合、譲渡所得から3,000万円を控除できます。国税庁「マイホームを売ったときの特例」でも紹介されている、最も使われる節税特例です。

  • 親が居住していた物件であること
  • 売却の前年・前々年に同じ特例を使っていないこと
  • 買主が親族など特別な関係でないこと

ここがポイント


親が施設に入居してから3年を経過した12月31日までに売却すれば、この特例が適用できます。施設入居後に時間が経ちすぎると適用外になるため、早めの売却が重要です。

step
2
相続空き家の3,000万円特別控除

相続で取得した空き家を売却する場合に使える特例です。

  • 相続で取得した家であること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家(旧耐震基準)または取壊し後の土地
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
  • 売却価格が1億円以下であること

ここに注意


旧耐震基準(昭和56年以前築)の物件は、売却前に耐震リフォームまたは建物を取り壊す必要があります。そのままでは特例が適用されません。事前に確認が必要です。

step
3
10年超所有軽減税率

所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、税率が軽減されます。

譲渡所得の金額 所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10% 4%
6,000万円超の部分 15% 5%

3,000万円特別控除との併用が可能


この軽減税率は3,000万円特別控除と併用できます。10年以上所有していた実家を売却する場合は、両方を組み合わせることで最大限の節税効果が得られます。

step
4
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

相続税を支払った上で実家を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例です。譲渡所得が圧縮される分、税負担を抑えられます。

  • 相続や遺贈により取得した財産であること
  • 相続税が課税されていること
  • 相続開始から3年10ヶ月以内に売却すること

相続空き家の3,000万円特別控除とは併用できないため、どちらが有利かを事前に比較しておく必要があります。一般的には3,000万円特別控除の方が控除額が大きくなるケースが多いですが、相続税額や売却価格によって異なるため、税理士に相談してシミュレーションすることをおすすめします。

手取り金額シミュレーション|3,000万円で売却した場合

具体的なケースで手取り金額を計算してみます。

ケース設定

  • 売却価格:3,000万円
  • 取得費:1,500万円(購入時の価格)
  • 所有期間:20年(長期譲渡)
  • 居住用財産の3,000万円特別控除:適用

STEP1|売却にかかる費用を計算

仲介手数料 96万円(3,000万×3%+6万円)×1.1
印紙税 1万円
司法書士費用 5万円
遺品整理 30万円(一戸建て目安)
費用合計 約132万円

STEP2|譲渡所得を計算

譲渡所得 = 3,000万円 −(1,500万円 + 132万円)= 1,368万円

STEP3|3,000万円特別控除を適用

課税譲渡所得 = 1,368万円 − 3,000万円 = 0円(控除で税額ゼロ)

シミュレーション結果

  • 売却価格:3,000万円
  • 諸費用合計:−132万円
  • 譲渡所得税:0円(特別控除適用)
  • 手取り金額:約2,868万円

3,000万円特別控除が使えるケースでは、ほぼ諸費用分だけが差し引かれる計算になります。

ここに注意


このシミュレーションはあくまで目安です。取得費・売却価格・所有期間・特例適用の可否によって手取り額は大きく変わります。正確な計算は税理士にご相談ください。

特例が使えない場合のシミュレーション

比較として、3,000万円特別控除が使えないケース(例:空き家になってから3年を超えて売却した場合など)も見てみましょう。

ケース設定(特例なし)

  • 売却価格:3,000万円
  • 取得費:1,500万円
  • 所有期間:20年(長期譲渡)
  • 特別控除:適用なし
譲渡所得 = 3,000万円 −(1,500万円 + 132万円)= 1,368万円
譲渡所得税・住民税(20.315%)= 1,368万円 × 20.315% = 約278万円

シミュレーション結果(特例なし)

  • 売却価格:3,000万円
  • 諸費用合計:−132万円
  • 譲渡所得税・住民税:−約278万円
  • 手取り金額:約2,590万円

特例が使えるかどうかで、手取り額に約278万円の差が生まれることが分かります。特例の適用条件を早めに確認しておく重要性がここにあります。

実家売却の費用を抑える3つのコツ

① 複数社に査定を依頼して高く売る

売却価格が高くなるほど手取り額が増えます。一括査定で複数社の査定額を比較し、最も高い価格で売れる会社を選びましょう。査定額には会社によって数十〜数百万円の差が出ることがあります。

② 節税特例を必ず確認する

3,000万円特別控除・相続空き家特例などの適用条件を事前に税理士に確認しましょう。特例適用の有無で税負担が数百万円変わることがあります。

③ 取得費の証明書類を探す

購入時の売買契約書・通帳記録などが残っていれば、取得費として計上できます。取得費が高いほど譲渡所得が下がり、税金が少なくなります

④ 不要な工事・リフォームを避ける

売却前に高額なリフォームを行っても、投じた費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。多くの場合、ハウスクリーニングや簡易補修程度で十分です。大規模な工事が必要かどうかは、リフォーム前に不動産会社へ相談しましょう。

⑤ 相見積もりで遺品整理・解体費用を比較する

遺品整理・解体・測量などの付帯費用は、業者によって数十万円単位の差が出ることがあります。複数の業者から見積もりを取り、対応範囲と費用のバランスを比較してから依頼するのがおすすめです。

ここがポイント


費用を抑えることと、売却価格を上げることは同じくらい手取り額への影響が大きいです。コスト削減だけに目を向けず、まずは一括査定で適正な売却価格を把握することから始めましょう。

まず無料査定で売却価格の目安を確認しよう

費用と税金のシミュレーションは、売却価格がわかって初めて正確にできます。まず無料の一括査定で相場を把握してから、手取り額を計算してみましょう。

【無料】HOME4Uで実家の査定額を確認する

【無料】イエウールで複数社を一括比較する

実家売却の費用・税金に関するよくある質問

Q. 実家売却で赤字になった場合も税金はかかりますか?


売却価格が取得費を下回った場合(譲渡損失)は、原則として譲渡所得税はかかりません。ただし確定申告は行うことをおすすめします。一定の条件を満たせば他の所得と損益通算できる場合があります。

Q. 親が購入した時の金額がわからない場合はどうなりますか?


取得費が不明の場合は、売却価格の5%を概算取得費として使えます。例えば売却価格3,000万円なら150万円が取得費となります。実際の取得費より低くなるため、購入時の書類(売買契約書・通帳記録・登記申請書等)を探すことをおすすめします。

Q. 確定申告はいつまでに行う必要がありますか?


売却した翌年の2月16日〜3月15日が申告期間です。節税特例を適用するためにも確定申告は必須です。税理士に依頼する場合は、売却が完了したタイミングで早めに相談することをおすすめします。

Q. 仲介手数料は値引き交渉できますか?


仲介手数料は法律で定められた上限額であり、値引き交渉は可能です。ただし、手数料を下げた分だけ不動産会社の積極的な販売活動が期待できなくなるリスクもあります。値引きより高く売れる会社を選ぶ方が手取り額が増えるケースが多いです。

Q. 3,000万円特別控除と相続空き家特例はどちらが有利ですか?


親が住んでいた家を生前に売却する場合は「居住用財産の3,000万円特別控除」、相続後に空き家を売却する場合は「相続空き家の3,000万円特別控除」が対象になります。控除額はどちらも3,000万円ですが、適用条件(築年数・売却期限・耐震基準など)が異なるため、自分のケースがどちらに当てはまるかを事前に確認しておく必要があります。

Q. 解体してから売却した方が得ですか?


立地や建物の状態によって異なります。解体して更地にすると買い手の選択肢が広がり売れやすくなる一方、100万円以上の解体費用がかかります。古家付きのまま売れる需要があるエリアなら、解体せずに売却した方が手取り額が増えることもあります。不動産会社に両方のパターンで査定してもらい、比較するのが確実です。

まとめ|費用と税金を把握して手取り額を最大化しよう

実家売却の費用・税金 ポイントまとめ

  1. 主な費用は仲介手数料・印紙税・司法書士費用・遺品整理費用
  2. 費用は売却活動前・契約時・引渡し時・確定申告時の4タイミングで発生する
  3. 譲渡所得税は「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算する
  4. 所有期間は売却年の1月1日時点で判定し、相続の場合は親の購入日を引き継ぐ
  5. 3,000万円特別控除・相続空き家特例・取得費加算の特例などで節税できる可能性がある
  6. 相続空き家特例と取得費加算の特例は併用できない点に注意する
  7. 取得費の証明書類を探しておくと節税につながる
  8. 解体の有無は売却価格への影響を比較してから判断する
  9. 売却金の一部は確定申告・納税に備えて残しておく
  10. 正確な試算は税理士への相談が確実

実家売却の費用と税金を事前に把握しておくことで、「思ったより手元に残らなかった」というトラブルを防げます。まず一括査定で売却価格の目安を知ることが、すべての計算の第一歩です。

実家売却の手続き全体の流れはこちら


査定から引渡し・確定申告までの7ステップは以下の記事で詳しく解説しています。
実家売却の手続きと流れ完全ガイド|遠距離でも進める親の家の売り方

【無料】今すぐ実家の査定額を確認する

-空き家・実家売却