遺留分侵害額請求とは|割合・計算方法・時効を9つのポイントで完全解説

相続・遺品整理

遺留分侵害額請求とは|割合・計算方法・時効を9つのポイントで完全解説

遺留分侵害額請求とは何かをご存じでしょうか。「親の遺言で、自分の取り分がほとんどなかった」「兄弟の一人だけに生前贈与が集中していた」——こうした状況に納得できない場合、一定の相続人には、法律上最低限の取り分を金銭で取り戻せる権利が認められています。

この記事では、遺留分侵害額請求とはどのような制度なのかを、対象となる相続人・割合・計算方法から整理したうえで、時効・除斥期間、内容証明郵便での請求方法、よくあるトラブルまで完全解説します。遺産分割協議書の作成を進めている方や、遺言の内容に納得できない方は、あわせて確認しておきましょう。制度の全体像を理解しておくことで、いざというときに落ち着いて対応できるようになります。

結論を先取りすると、遺留分侵害額請求には「知った時から1年」「相続開始から10年」という2つの期間制限があり、期限が近い場合はまず内容証明郵便で請求の意思表示をすることが最優先です。以下で詳しく見ていきましょう。

こんな方におすすめ

  • 親の遺言や生前贈与の内容に納得できない方
  • 遺留分侵害額請求ができるかどうか知りたい方
  • 請求できる金額の計算方法を知りたい方
  • 時効が迫っており、急いで対応方法を知りたい方
  • 逆に遺留分を請求される立場になり、対応に困っている方


この記事でわかること

  • 遺留分侵害額請求とは何か、2019年の民法改正での変更点
  • 遺留分の割合と、請求できる相続人の範囲
  • 遺留分侵害額の計算方法
  • 時効・除斥期間と、内容証明郵便での請求方法
  • よくあるトラブルと解決の進め方
  • 請求された側(受遺者・受贈者)が知っておきたいこと

遺留分侵害額請求とは|2019年の民法改正で金銭債権化

遺留分侵害額請求とは、遺言や生前贈与によって遺留分(法律上最低限保証された取り分)を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭を請求できる権利のことです。

2019年7月の民法改正以前は「遺留分減殺請求」と呼ばれ、不動産や株式そのものを取り戻す権利(物権的効力)でしたが、改正後は金銭のみを請求する権利に整理され、不動産が共有状態になる複雑さを避けられるようになりました。制度改正の詳しい経緯は、法務省の「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」で確認できます。

遺産分割協議書の作成を進めている方は、遺産分割協議書の書き方を9つのポイントで完全解説もあわせてご確認ください。

典型的なのは「同居していた子どもだけに実家を相続させる」というケース

遠距離介護や実家の管理を一人の子どもが担ってきた家庭では、「実家の面倒を見てくれた長男・長女にすべて相続させる」という内容の遺言が残されているケースがよくあります。他の兄弟姉妹にとっては、貢献してくれたことへの感謝を理解しつつも、法律上の取り分がゼロになることに納得できないという心情が生まれやすく、遺留分侵害額請求に発展する典型的なパターンの一つです。

特定の相続人への生前贈与が偏っているケースもある

遺言だけでなく、生前に特定の子どもの住宅購入資金や事業資金として多額の贈与が行われていた場合も、他の相続人の遺留分を侵害していないか問題になることがあります。贈与を受けた本人は「もらったものだから関係ない」と考えがちですが、相続開始前10年以内の贈与であれば遺留分の計算に算入されるため、思わぬ形で請求を受ける可能性があることを知っておきましょう。

遺留分の割合と請求できる相続人の範囲

遺留分が認められるのは、配偶者・直系卑属(子・孫)・直系尊属(親・祖父母)のみで、兄弟姉妹には遺留分がありません

相続人の構成 遺留分の割合(相続財産全体に対して)
相続人が直系尊属(親等)のみ 法定相続分の1/3
それ以外(配偶者・子がいる場合等) 法定相続分の1/2

たとえば、配偶者と子2人が相続人の場合、それぞれの法定相続分に1/2を掛けた金額が個別の遺留分になります。兄弟姉妹が相続人になるケースでは、そもそも遺留分侵害額請求はできない点に注意しましょう。

具体例で見る遺留分の金額

相続財産が6,000万円、相続人が配偶者と子2人(うち1人が実家を単独相続する遺言があった)というケースで考えてみましょう。法定相続分は配偶者1/2・子がそれぞれ1/4ずつのため、遺留分割合1/2を掛けると、配偶者の遺留分は1,500万円、子1人あたりの遺留分は750万円になります。実際に受け取った財産がこれを下回っていれば、その差額を遺留分侵害額として請求できます。

相続人 法定相続分 遺留分(法定相続分×1/2)
配偶者 3,000万円(1/2) 1,500万円
子(1人あたり) 1,500万円(1/4) 750万円

遺留分侵害額の計算方法

遺留分侵害額は、個別的遺留分の金額から、遺留分権利者がすでに受け取った遺贈・生前贈与や、承継すべき遺産の金額を差し引き、負担すべき相続債務を加算して求めます。

遺留分侵害額の計算の考え方

  • ①個別的遺留分の金額を算出する(相続財産全体×遺留分割合×法定相続分)
  • ②そこから、すでに受け取った遺贈・特別受益の金額を差し引く
  • ③相続によって承継する遺産があれば、その金額も差し引く
  • ④負担すべき相続債務があれば、その金額を加算する

計算の基礎となる相続財産には、亡くなった時点の財産だけでなく、相続開始前10年以内に行われた相続人への生前贈与(特別受益に該当するもの)も算入されます。10年より前の贈与は原則として対象外です。

不動産の評価額をめぐって意見が分かれることが多い

相続財産に不動産が含まれる場合、評価額の算定方法(固定資産税評価額・路線価・時価のどれを基準にするか)で当事者間の意見が分かれやすい点に注意が必要です。実勢価格に近い金額を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼して参考にする方法もあります。

借金などの相続債務も考慮される

遺留分算定の基礎となる財産は、プラスの財産だけでなく、亡くなった方が残した借金などのマイナスの財産(相続債務)も差し引いて計算されます。プラスの財産だけを見て「これだけの遺留分があるはずだ」と考えてしまうと、実際の金額と食い違うことがあるため、債務の有無も含めて全体像を把握しておく必要があります。

生命保険金は原則として遺留分の対象外

受取人が指定された生命保険金は、原則として受取人固有の財産とされ、遺留分算定の基礎財産には含まれません。ただし、保険金額が遺産全体に対して極端に大きく、相続人間の不公平が著しいと判断される特段の事情がある場合には、例外的に遺留分の対象になり得るとした裁判例もあります。生命保険を活用した相続対策を検討している場合は、この点もふまえて専門家に相談すると安心です。

遺留分侵害額請求の時効・除斥期間

遺留分侵害額請求権には「相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年」の消滅時効と、「相続開始から10年」の除斥期間という2つの期間制限があります。

期間制限 起算点 止められるか
消滅時効(1年) 相続開始と遺留分侵害を知った時 内容証明郵便での意思表示により更新可能
除斥期間(10年) 相続開始時 更新不可(機械的に進行)

1年の消滅時効は非常に短いため、期限が近づいている場合はまず内容証明郵便で請求の意思表示をすることが最優先です。意思表示さえしておけば、その後の具体的な金額交渉には時間をかけて対応できます。

内容証明郵便で請求の意思表示をする

配達証明付きの内容証明郵便で「遺留分侵害額を請求する」旨を相手に送付することで、時効の完成を止めることができます。詳しいサービス内容は、日本郵便の「内容証明」のページで確認できます。

除斥期間の10年は「知らなかった」場合でも進行してしまう

消滅時効の1年は「侵害を知った時」が起算点ですが、除斥期間の10年は、遺留分の侵害を知っていたかどうかにかかわらず、相続開始の時点から機械的に進行します。たとえば、疎遠になっていた親の死亡を何年も後になって知ったような場合でも、相続開始から10年が経過していれば、原則として請求はできなくなります。定期的に親族と連絡を取り合っておくことが、この除斥期間のリスクを避ける一番の対策になります。

遺留分侵害額請求の手続きの流れ

遺留分侵害額請求は、まず当事者間の話し合いから始め、まとまらなければ調停・訴訟に進むのが一般的な流れです。

遺留分侵害額請求の主な流れ

  • 内容証明郵便で請求の意思表示をする
  • 相手方と話し合い、金額・支払い方法を交渉する
  • 合意できれば、合意書を作成し支払いを受ける
  • 合意できなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる
  • 調停でもまとまらなければ、地方裁判所に訴訟を提起する

遠距離に住んでいても内容証明郵便での対応から始められる

遠方に住んでいて相手方と直接会って話し合うのが難しい場合でも、内容証明郵便での意思表示や、弁護士を代理人にした交渉であれば、現地に行かなくても手続きを進められます。まずは時効を止めることを優先し、具体的な交渉は弁護士に依頼するという進め方も一つの方法です。

調停はオンラインでの実施に対応する家庭裁判所も増えている

家庭裁判所での調停は、従来は当事者が裁判所に出向く必要がありましたが、近年はウェブ会議システムを利用した調停に対応する裁判所も増えています。遠方に住んでいて出頭が難しい場合は、担当書記官にウェブ会議での参加が可能かどうかを確認してみましょう。

生前に遺留分を放棄することもできる

あまり知られていませんが、相続開始前(親が存命のうち)に、家庭裁判所の許可を得ることで遺留分を放棄することも可能です。「実家の跡を継ぐ長男にすべて相続させたいが、後で他の子どもから遺留分を請求されないか心配」という場合に使われる制度です。

相続放棄とは異なり、家庭裁判所の許可が必要

遺留分の生前放棄は、本人が一方的に「放棄します」と宣言するだけでは成立せず、家庭裁判所に申し立てて許可を受ける必要があります。裁判所は、放棄が本人の自由意思に基づくものか、放棄の見返りとなる代償(生前贈与など)が十分かといった点を審査します。相続開始後に行う「相続放棄」とは似て非なる制度のため、混同しないよう注意しましょう。

遺留分侵害額請求でよくあるトラブル

遺留分侵害額請求は金銭を請求する権利ですが、支払う側にまとまった現金がないケースも多く、トラブルに発展しやすい分野です。

支払う側に現金がなく、不動産を売却して工面するケース

遺留分侵害額請求を受けた側が実家などの不動産しか相続していない場合、請求された金額を支払うために、不動産を売却して現金化する(代償分割)方法がよく取られます。実家の売却を検討する場合は、相続した実家を売却する方法もあわせてご覧ください。売却額が想定より低いと、支払い原資が不足してしまうこともあるため、早めに複数社へ査定を依頼し、現実的な資金計画を立てておくことが大切です。

裁判所に支払い期限の猶予を求めることもできる

2019年の民法改正により、請求された側が家庭裁判所に申し立てることで、金銭の支払いについて一定期間の猶予を認めてもらえる制度が新設されました。すぐに現金を用意できない場合は、この制度の利用も検討しましょう。

感情的な対立が深まりやすい理由

遺留分侵害額請求は、「お金の話」であると同時に「親からどれだけ大切にされていたか」という感情的な問題と結びつきやすいという特徴があります。金額の交渉が、そのまま兄弟姉妹間の関係悪化につながってしまうことも少なくありません。感情的になりそうな場合は、当事者同士で直接やり取りするのではなく、弁護士を間に立てて交渉を進めるほうが、かえって早期解決につながることもあります。

調停・訴訟にかかる期間の目安

話し合いで解決せず調停に進んだ場合、申し立てから成立まで半年〜1年程度かかることが多く、訴訟までもつれ込むとさらに長期化する傾向があります。時間と費用の両方がかかることを踏まえると、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、交渉による解決を目指すほうが、当事者双方にとって負担の少ない解決につながりやすいといえます。

相手が支払いに応じない場合は強制執行も可能

調停や訴訟で支払い額が確定したにもかかわらず、相手が任意に支払わない場合は、確定した調停調書や判決に基づいて、給与や預貯金口座を差し押さえる強制執行の手続きを取ることができます。ここまで進むケースは多くありませんが、話し合いだけで解決しない場合の最終手段として知っておくとよいでしょう。

遺留分侵害額請求をされた場合の対応

逆に遺留分侵害額請求をされる立場になった場合、内容証明郵便が届いても慌てず、まず計算根拠を確認することが大切です。

請求内容をそのまま鵜呑みにしない

相手から提示された金額が、必ずしも法律上正しい計算に基づいているとは限りません。財産の評価方法や、特別受益の扱いに誤りがあるケースもあるため、そのまま応じるのではなく、必要であれば税理士・弁護士に計算根拠を確認してもらいましょう。

無視し続けるのは得策ではない

請求されたことに納得がいかず、内容証明郵便を無視し続けても、相手方の権利自体が消えるわけではなく、いずれ調停や訴訟に発展する可能性が高まるだけです。感情的に対応を先延ばしにするより、早い段階で専門家に相談し、応じるべき部分と争うべき部分を整理したほうが、結果的に負担を軽くできます。

支払った金額は相続税の計算にも影響する

遺留分侵害額を支払った場合、支払った側は相続税の「更正の請求」を行うことで、すでに納めた相続税の一部が還付される場合があります。逆に受け取った側は、新たに相続税の修正申告が必要になることがあります。どちらの場合も、更正の請求・修正申告には期限が定められているため、遺留分の解決後は早めに税理士へ相談しましょう。

不動産を売却して代償金を工面するなら|まずは査定額を確認しよう

遺留分侵害額請求への対応で不動産の売却を検討している場合は、まず査定額を確認してから交渉方針を決めることをおすすめします。

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遺留分侵害額請求を検討してから解決するまでの流れ

step
1
遺言・生前贈与の内容を確認し、遺留分侵害の有無を検討する

不公平な内容だと感じたら、まず遺留分の計算をしてみます。

step
2
時効が近い場合はすぐに内容証明郵便で意思表示をする

1年の消滅時効を止めることを最優先に対応します。

step
3
相手方と金額・支払い方法を交渉する

不動産の評価額など、意見が分かれやすい点は根拠を明確にして話し合います。

step
4
合意できれば合意書を作成する

支払い方法・時期を明記した合意書を取り交わします。

step
5
合意できなければ調停・訴訟に進む

家庭裁判所の調停、それでもまとまらなければ地方裁判所の訴訟に進みます。

step
6
(必要な場合)不動産を売却して支払い原資を確保する

現金が不足する場合は、不動産の売却も選択肢に入れます。

遺留分侵害額請求に関するよくある質問

Q. 遺留分侵害額請求とは何ですか?


遺言や生前贈与によって、法律上最低限保証された取り分(遺留分)を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭を請求できる権利です。2019年の民法改正で金銭債権として整理されました。

Q. 誰が遺留分を請求できますか?


配偶者・直系卑属(子・孫)・直系尊属(親・祖父母)が対象です。兄弟姉妹には遺留分が認められていません

Q. 遺留分の割合はどのくらいですか?


相続人が直系尊属のみの場合は法定相続分の1/3、それ以外の場合は法定相続分の1/2が目安です。

Q. 遺留分侵害額請求の時効はいつまでですか?


相続開始と遺留分侵害を知った時から1年、相続開始から10年の除斥期間があります。1年の時効は内容証明郵便での意思表示により更新できますが、10年の除斥期間は止められません。

Q. 内容証明郵便を送るだけで解決しますか?


いいえ、内容証明郵便は時効を止めるための意思表示であり、それだけで金額が確定するわけではありません。その後、相手方との交渉や、必要に応じて調停・訴訟が必要になります。

Q. 遺留分侵害額請求をされたら、必ず金額どおりに支払う必要がありますか?


提示された金額の計算根拠が必ずしも正しいとは限りません。財産評価や特別受益の扱いに誤りがある場合もあるため、税理士や弁護士に確認してから対応しましょう。

Q. 支払うお金がない場合はどうすればいいですか?


不動産を売却して現金化する方法や、家庭裁判所に支払い期限の猶予を求める方法があります。2019年の民法改正で、裁判所による期限の猶予制度が新設されました。

Q. 生前贈与も遺留分の計算対象になりますか?


相続人への生前贈与のうち、相続開始前10年以内に行われた特別受益にあたるものが算入対象になります。10年より前の贈与は原則として対象外です。

Q. 不動産の評価額で意見が分かれた場合はどうすればいいですか?


不動産会社に査定を依頼して実勢価格の参考値を確認する、または不動産鑑定士に正式な鑑定を依頼する方法があります。話し合いで解決しない場合は調停・訴訟で裁判所が判断します。

Q. 遺留分侵害額請求と遺産分割協議はどう違いますか?


遺産分割協議は相続人全員で財産の分け方を話し合う手続き、遺留分侵害額請求は遺言・生前贈与で最低限の取り分を侵害された場合の金銭請求です。遺言がある場合は遺産分割協議が不要なケースでも、遺留分侵害額請求は別途可能です。

Q. 兄弟姉妹だけが相続人の場合、遺留分侵害額請求はできますか?


いいえ、兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、遺留分侵害額請求はできません。遺言で取り分がなくても、法律上は請求する権利がない点に注意しましょう。

Q. 遠方に住んでいても遺留分侵害額請求はできますか?


はい、内容証明郵便での意思表示や弁護士への依頼により、現地に行かなくても手続きを進められます。まずは時効を止めることを優先しましょう。

Q. 相続放棄をした場合でも遺留分侵害額請求はできますか?


いいえ、相続放棄をすると最初から相続人でなかったことになるため、遺留分侵害額請求もできなくなります。相続放棄の手続きについては、相続放棄の手続き方法の記事で詳しく解説しています。

Q. 生前に遺留分を放棄させることはできますか?


本人が家庭裁判所に申し立て、許可を受ければ生前放棄が可能です。本人の自由意思に基づくものか、放棄の見返りが十分かなどを裁判所が審査するため、一方的に約束させるだけでは成立しません。

Q. 除斥期間の10年は、侵害を知らなくても進行しますか?


はい、除斥期間は相続開始時から機械的に進行し、知らなかったことを理由に止めることはできません。疎遠な親族がいる場合は、定期的な連絡を心がけておくとリスクを減らせます。

Q. 弁護士に依頼せず自分だけで交渉することはできますか?


可能ですが、感情的な対立に発展しやすく、金額の計算も複雑になりがちです。話し合いが難航しそうな場合は、早めに弁護士に相談し、間に入ってもらうことをおすすめします。

Q. 遺留分侵害額を支払うと相続税はどうなりますか?


支払った側は更正の請求で相続税の一部還付を受けられる場合があり、受け取った側は修正申告が必要になることがあります。どちらも期限があるため、解決後は早めに税理士に相談しましょう。

Q. 遠方に住んでいて調停に出頭できません。どうすればいいですか?


近年はウェブ会議システムでの調停参加に対応する家庭裁判所が増えています。担当の書記官に、遠方居住の事情を伝えてオンライン参加が可能か確認してみましょう。

Q. 生前贈与を受けた側が、後から遺留分侵害額請求をされることはありますか?


はい、相続開始前10年以内の生前贈与は遺留分の計算に算入されるため、贈与を受けた側が請求を受ける可能性があります。多額の贈与を受けた場合は、この点を念頭に置いておきましょう。

Q. 生命保険金も遺留分の対象になりますか?


原則として受取人固有の財産のため対象外です。ただし、保険金額が遺産全体に対して著しく大きい場合など特段の事情があれば、例外的に対象となる可能性もあります。判断に迷う場合は弁護士に相談しましょう。

まとめ|遺留分侵害額請求とは何かを理解し、期限内に適切に対応しよう

遺留分侵害額請求のチェックリスト

  • 遺留分が認められるのは配偶者・直系卑属・直系尊属のみと理解する
  • 割合は法定相続分の1/2(直系尊属のみの場合は1/3)が目安
  • 相続開始前10年以内の生前贈与も計算対象になる
  • 時効(1年)・除斥期間(10年)を必ず確認する
  • 時効が近い場合は内容証明郵便で先に意思表示をする
  • 不動産の評価額は査定・鑑定で客観的な根拠を用意する
  • 支払う側は代償分割や期限の猶予制度も検討する
  • 請求された場合は金額をそのまま鵜呑みにせず根拠を確認する
  • 生前に遺留分を放棄させたい場合は家庭裁判所の許可が必要と理解する
  • 特定の相続人への生前贈与が偏っていないか確認する
  • 解決が難しい場合は早めに弁護士に相談する

遺留分侵害額請求とは、法律上最低限保証された取り分を金銭で取り戻すための権利ですが、1年という短い時効があるため、迷っている時間はあまりありません。少しでも心当たりがある場合は、まず内容証明郵便での意思表示を検討しましょう。

特に、遠距離で親族と疎遠になりがちな家庭ほど、除斥期間の10年に気づかないまま経過してしまうリスクがあります。日頃から親族との連絡を絶やさないことが、こうした権利を守るうえでも役立ちます。

制度の仕組みを正しく理解しておけば、いざというときに感情だけで動くのではなく、根拠のある冷静な判断ができるようになります。この記事が、遺留分をめぐる手続きを進めるうえでの一助になれば幸いです。

請求する側も、請求された側も、感情的な対立に発展しやすいテーマだからこそ、早い段階で弁護士や税理士などの専門家に相談し、客観的な根拠に基づいて話し合いを進めることが、円満な解決への近道になります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら着実に進めていきましょう。

相続手続き・遺産分割についてはこちら


実家の相続手続き全体の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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遺産分割協議書の書き方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
遺産分割協議書の書き方を9つのポイントで完全解説
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